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旧盛岡銀行本店(岩手銀行中の橋支店)

 盛岡市の中心部に建つ煉瓦造りの銀行を訪れる

 1911年(明治44)に3年の歳月を要して建てられた旧盛岡銀行本館は,岩手銀行本店本館を経て,岩手銀行中の橋支店として現在に至り,盛岡市中心部の中津川畔にこじんまりした優美な姿で,当初の使用目的と同じ銀行行舎として使用されている。
 盛岡駅からは,「でんでんむし」という市内循環バス(左回り)で,10分ほどの”盛岡バスセンター”で下車し少し戻った交差点の角地に格調高くそびえている。
 

 岩手銀行(旧盛岡銀行)本店本館 【国指定有形文化財(建造物) 1994.12 指定)】
旧盛岡銀行本店

 赤煉瓦造りに緑のドームとルネッサンス風の輪郭が厳格さを現わしていて,当時の洋風建築の特徴をほぼ完全な姿で伝えている。一部3階建て,延べ面積は1020平方メートルる。

 設計は,あの赤レンガの東京駅を設計した辰野金吾氏と盛岡出身の工学士・葛西萬司。建築当時の姿を完全な形で残し,かつ現在も創建当初の目的で使われている建物として全国最初の重要文化財に指定されている。

 交差点を向いた正面にドームを頂き,市中心街のランドマーク的建築としてに建てられた。
 構造は煉瓦造(れんがづく)り2階建(一部3階)。屋根は銅板葺(どうばんぶき)でドーム部分のみスレート葺。ルネッサンス様式で,辰野式と呼ばれる赤れんがにアクセント効果を与える白色花こう岩の帯とドーム屋根の組み合わせが印象的である。
 南東隅にドームを冠した八角塔と南側に矩形塔を配して出入口としている。また,東面北端に切妻屋根が張り出す凸凹に富んだ外観となっている。

 内部に入ると,そこには”現役”の銀行の窓口が並んでいる。
ロビーがちょっと狭い感じで,田舎の郵便局みたいなレトロ感十分な空間であり,置かれているATMには違和感を覚えるほどである。
奥の一角は,ギャラリーとなっていて,一般に公開されているようだ。市内の主婦グループの絵画展が開かれていた。

 この建物は日本の近代化の中で,3年後に竣工した同じく辰野と葛西の設計になる現JR東京駅(旧東京中央停車場)とともに威厳と風格をもつ赤煉瓦建築の熟成した姿として位置付けることができる。
旧盛岡銀行と東京駅は濃い血でつながっていることになる。
         外 壁

 外壁は煉瓦の壁面に花崗岩の帯を回し,1階窓はまぐさ,2階窓にはアーチを用い,コンソールやアーチなどの要所にも白色花崗岩を使ってアクセントをつけている。 赤い丸型ポストがお似合い!                
                   建  物  内  部

  内部はロビーと営業室が吹き抜けとなっていて,2階に回廊をめぐらしている。付け柱を用い,天井に石膏(せっこう)モチーフを施す等豪華な内装。桜の花模様のすりガラスが入れられ,その周りにはステンドグラスが嵌め込まれている。
明治期の銀行建築は,かくも豪華なものかと驚嘆を覚える。

 参照ウエブサイト : 岩手銀行中の橋支店